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梶輝行教授:日本学習社会学会第15回大会に参加して!(大会参加記)

2018-09-07

平成30年度の日本学習社会学会第15回大会が京都の立命館大学衣笠キャンパス以学館を会場に開催されました。今回の大会では、学校と地域の協働による公正な共生社会づくりに向けての議論が公開シンポジウムでも展開され、また課題研究ではテーマⅠ「学習都市の可能性」とテーマⅡ「高等教育における国際化の課題」が報告者の課題提起により協議された。この他、自由研究発表も多彩なテーマによる発表があり、盛況な大会となりました。  

今回の大会に参加して、2つの点について注目でき、示唆に富む報告があり、深く考えさせられる内容であったので、その概要を紹介します。  

まずは少子・人口減少が進む中での今後の学校教育についてです。このことは、今年3月末に「高等学校学習指導要領」が改訂告示され、すべての校種が出そろった状況となりました。これにより、いよいよ2020年度の小学校をスタートに翌年には中学校、そして翌々年には入学した高校1年生より新学習指導要領が高等学校で導入・実施されるところとなります。今回の改訂の理念は、「社会に開かれた教育課程」の実現ですが、発表者の指摘にも数多聞こえてきたとおり、地域社会によっては少子・人口減少が加速化して、教育課程を学校外に開く先にある地域社会が変貌し、人的にも物的にもかつての教育力に翳りが深まり、ましてや学校の存廃が論議される事態の中で、学校が地域から消え、また学校からも発信する先の地域社会が成立していないなど、今回の理念の実現に対する懸念と不安の声が寄せられていました。

新学習指導要領が来年度以降移行措置の期間に入るものの、この理念の実現に向けて学校教員のみならず学識者や教育行政の担当者からも学校の存廃をめぐる現実的な問題を抱えながらの不安定な状況の中で準備を進めていくことを余儀なくされている現状について、参加者間で共有され、現実的な学校理解が深められたといえます。

参加者からは深刻な意見等も寄せられました。その一つとして、山陰地方の島根県では、県立高校の存続に向けて「しまね留学」として県外からの留学生枠を設け、生徒寮等を整備して生徒数確保に努めており、少子化に対応して学校の維持継続と地域創生の2つの急務の課題の解決策として積極的な高校生の流入施策を展開しているところもあることをうかがうことができ、各地で様々な少子・人口減少に対する取組が進められていることを実感できました。学校存続を図るため県が営む公立高校に、県外からの生徒で募集定員を充足するという試みは、今後様々な地域でもフィージビリティ―を追求する動きを加速するものと考えます。

もう一つは、学習指導要領改訂と並行して国の高大接続改革が進められていますが、大学入試センター試験に代わる新たな大学入試制度に関して、いつ受験科目が正式に公表されるか不明な現在、全国の高等学校では新たな教育課程編成にどのような科目をどの学年に配置するかという作業が足踏みして停滞している状況をうかがい知れたことです。高校生の進路保障を考慮して新たな教育課程を編成するうえで、高等学校は大学入試の受験科目の配置の具体が明確にならなければ、まったく教育課程を組みようがないと意見する参加者もいました。

この大会ではこの他、支援を必要とする子どもへの対応や高等教育機関における改革の動きなども研究発表として紹介されました。

本大会で知り得た内容や情報は、本学の教職課程での授業の中で活用し、教育課題として提起し、学生への考察を促していきたいと考えます。(記載:梶 輝行)

 

立命館大学衣笠キャンパス正門  大会会場の以学館 研究発表会の風景 学会の年報編集委員として取り組む梶輝行教授

 

 

◆今回の大会で参加者に配付された『日本学習社会学会年報第14号』には、本学の梶教授が著した書評「樋田大二郎・樋田有一郎著『人口減少社会と高校魅力化プロジェクト 地域人材育成の教育社会学』(明石書店、2018年刊)」が掲載されています。

書評のPDFはこちら

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