お知らせ

漢方薬学科 曽根 秀子教授が世界保健機関 国際がん研究機関会議に参加しました

2018-11-27
WHO IARC世界保健機関 国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer)への出張報告 (2018年11月22日) 曽根秀子 

 

              世界保健機構 国際がん研究機関((World Health Organization, International Agency for Research on Cancer,

              WHO IARC)は、WHOの外部組織です。この機関は、がんメカニズムの解明や発がん原因の特定によって発がん予防の

              ために、化学物質、放射線やウイルスなどの人に対する発がん性の影響評価を行っています。その結果をモノグラフ本と

              して公表しています。今日では、日本、中国、インドネシアをはじめとするアジアでもがんの発症率が著しく増加してお

              り、重要な健康上の問題となっています。IARCの発がん性分類は、(1)人への曝露のデータ、(2)疫学調査など人での

              発がん性データ、(2)実験動物での発がん性試験データ (3)メカニズム及びその他関連毒性データの4点を評価し、

              それぞれのデータ証拠の確からしさにより人への発がん性を総合評価しています。現時点では、IARCによる人に対する

              発がん剤の総評価の分類は、グループ1:発がん性がある、グループ2A:恐らく発がん性がある、グループ2B:発がん性

              の恐れがある、グループ3:発がん性を分類できない、グループ4:恐らく発がん性はない、となっています。

              今回、2018年10月9-16日の間、フランスのリヨン市において、第123巻のモノグラフ会議が開催されました。第123巻

              では、ニトロベンゼン類と芳香族アミン類などの工業化学品について、発がん性評価を行いました。会議は、第1チーム

              の曝露及び 疫学調査、第2チームの実験動物での発がん性試験、第3チームのメカニズム及びその他関連毒性データの、

              3チームに分かれて、私は第3チームに参加しました。評価を行った8種の化合物については、「実験動物における発がん

              性の十分な証拠」およびヒトにおけるデータまたは「不十分な証拠」に基づいて、すべての化合物は「ヒトに対して発がん

              性があると思われる」(グループ2B)と分類されることを全員一致で採択しました。その中で、最も議論が行われたのは、

             オルト - フェニレンジアミン及びオルト - フェニレンジアミン二塩酸塩でした。これらの物質は、農薬および医薬品の製造、

             コーティングと写真化学製品に使用され、染料および毛髪染料および毛皮の着色に使用されます。事務局から事前に指定さ

             れたおおよそ200の学術論文に目を通し、80の学術論文を精読し、要約文とデータ表を作成し会議に臨みました。

             自身が作成した文書及び表は、監査の同じチームの他のメンバーから監査を受け、IARCスタッフによって修正され、会議期

             間中に最終案が作成されていきます。連日、ホテルに戻っても、自室で文書の修正などを行い、会議においても積極的に

             議論に参加し、大変有意義な経験でした。

             昼食や夕食は参加者と共にすることが多くので英会話スキルがもっと良ければよいのにとの切実な思いもありました。

           (尚、上記の会議の内容は、LANCET Oncology 2018に会議報告として公表されています。また、背景写真の一部は、

              https://fr.wikipedia.org/wiki/Centre_international_de_recherche_sur_le_cancer より転載しました。)

 

     曽根 秀子教授のプロフィールは こちら